Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
なんと、矢の先には毒が塗られていたのだ。


「由羅、…しっかりしろっ。里には、解毒薬もある。もう少しの辛抱だ」


由羅を励ます春日の声が絶えず聞こえていたのを、由羅は朦朧とする意識の中でも覚えていた。



翌日…。


由羅が目を覚ますと、そこにはぼんやりと陽蔵の顔が浮かんだ。


「由羅…!」


陽蔵は強く由羅を抱きしめる。


「…痛いよ、父上」
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