Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
「…そうだ。確か、私…春日様に助けられて…」


由羅は、そのときの記憶を辿る。


「…春日様は!?私…、お礼を言わなくちゃっ!」


掛け布団を取っ払い、起き上がろうとする由羅。

しかし、その由羅の肩に陽蔵が手を添えた。


「…父上?」


不思議に思い、陽蔵を見上げる由羅。

その陽蔵は、険しい顔をして下唇を噛み締め、無言のまま由羅を見つめていた。
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