Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
「由羅様、もう体調はよろしいので…!?」

「もう少し休まれていた方がっ…」


そんな言葉は耳には入らず、由羅はなにかに引き寄せられるように、人と人との間を縫うように進んだ。


そして、由羅は目にした…。


人の集まる中心に、…力なく横たわる春日の姿を。


「春日…様…?」


由羅は春日の枕元に、膝から崩れるように座り込む。


春日の額からは滝のように汗が流れ、苦しそうに荒い息遣いをしている。
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