Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
「待ちやがれぇ!」


無事ではあったものの、敵兵に追われていた。


「…きゃっ」


逃げ回っていた美影は、足を止める。


…なんと角を曲がったところは、行き止まりだった。


前には壁。

後ろには敵兵。


逃げ場などなかった。


後ろから、地鳴りの如く足音が響く。


…美影は意を決して、鞘から刀を抜く。

その刀を震える手で握り締めながら、前に構えた。
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