Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
「一生の願いだっ…‼︎見逃してくれ…!」


兵は、命乞いを始めた。

目にいっぱいの涙を溜めながら。


「…ついこの間、ガキが生まれたばかりなんだっ!それに、俺の帰りを待つ女房もいる…!だから…、俺はまだっ…」


床に額を擦りつけ、美影を甚振ろうとしたさっきまでの兵とはまるで別人のようだった。


由羅は一度足を止め、兵を見下ろす。


「…そうか。それなら、仕方ないな」
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