鈍感男に告白した結果。

佐野side



「はぁ」

俺はため息をつく。


「どした?」


すかさず、唯斗が心配してくる。


ここは美術室。

絵が描き終わっていない俺たちは
部活に遅れてまで絵を描いている。



「川谷ってさ、さっきのなんだったんだろ?
川谷が俺を好きだなんて知ってるのに…
だって自他共に認めるベストフレンドなんだから」


さっき、川谷はものすごく不自然だった。

あいつなんなんだ?



“本当、佐野って鈍感だよね!"なんて、
なんかあるから言ったに違いない。

それも気づけない俺はやっぱり
鈍感……



「お前それ正気で言ってんの?!」

唯斗は筆を動かしながら呆れた顔をする。


「言ってるけど?」


「女からすきって言われたのに!?」


「え?うん…友達としてすきってことだろ」


「光、お前はおかしい
鈍感の域を超えてる」




真顔で言う唯斗。



何がおかしいのかが分からない。



「唯斗、意味不明なんだけど」




「まぁ光が鈍感でいてくれた方が
助かるよ。」




なんで?




「川谷って結構可愛いよね」



唯斗は笑いながら言った。



川谷が…かわいい??





「唯斗、川谷のどこら辺が
可愛いと感じる?」



「全体的に?顔も可愛いし
性格はそんな女子って訳じゃないけど
ちょっとツンデレで強がりなところとか」




…マジか。



別に、川谷はブスじゃない。
そのことを可愛いって言うのか?



ただ、川谷の場合、
唯斗のタイプじゃなさそうだけど…



唯斗はもっと、
女子力がめちゃくちゃ高い女子が
好きそう。


唯斗と恋の話をしたことがないから
あまり詳しく知らないけど、

こいつ告白されること
しょっちゅうあるのにいつも断るもんな。




理想が高そう。




「お前って、
川谷のことどういう目でみてるの?」



思い切って聞く。







「なに?女として見てたら駄目?」










……は?

















「だって、川谷は佐野のものじゃねーじゃん
何?川谷に思うことでもある?」





唯斗が川谷を好き……?





「いや別にないけど……だって川谷はただのベストフレンドだし
俺は“好き"って気持ちがどういうものか
全然しらないし…」





「そっか」




唯斗はニカッと笑ってそれ以上は
何も言わなかった。


でも、胸のざわめきがする。



なんなんだよ、この変な感情!

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