鈍感男に告白した結果。
「そっかぁ~。
まぁ、りりと佐野くんはお似合いだよ」

舞はそう言って笑った。


「そ、そうかな…
それより早く絵完成させよ!」


体育館の壁に飾るとても大きな絵を
美術部は制作することになっている。

制作期間は1ヶ月くらいで


明日までには作り終えないと……



材料を取るために
美術準備室のドアを開けると、
なぜかそこには部活に行ったはずの佐野がいた。何かを探しているようだった。





佐野?

なんでここにいるの!?!





謎すぎ!!



「…え??」



あたしがそう言うと佐野は振り返る。



「あ、ごめん!もう提出期限過ぎてるのに、絵が描き終わってなくて。
“仕上げてから部活来い"って言われたから」


佐野が言う“絵"とは美術の授業でそれぞれが
描くものである。


「え?バカじゃないの!」


「絵ならこっちにあるんじゃないかな?」

舞が口を開いた。
準備室にある棚から、佐野の絵を見つけようとするけど、見つからない。


「あれっ?おかしいなぁー
ちょっと向こうも見てくるね」

舞はそう言って、美術室へと移動していった。





2人きり。

佐野とあたしだけ。



鳴り止まない胸の鼓動。



その音を消すかのように、準備室のドアがまた開く。


「あ、唯斗どうしたんだよー」


準備室に入ってきた男子に佐野は言う。


「俺も絵が描き終わってなくて」


そう言う彼の名は、星崎唯斗(ホシザキ ユイト)

唯斗くんは佐野の親友で、同じサッカー部。

イケメンでサッカーも上手で
普通にモテる。

それに何かと
あたしの恋愛相談に乗ってくれる
優しい男子。


舞と唯斗くんは
唯一、私の好きな人を知ってるからね…
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