あの絵が完成するまでは
なのに。
(あれは・・・私、だよねえ)
なんの記憶もないまま、私は“あっち側”の人間になっていた。
透明になって、宙に浮いて、大勢の人の中心にある自分の遺影を眺めている。
(・・・どうしてこうなったんだろう)
(ていうか私・・・意外とお通夜たくさんの人に来てもらってるな)
本当なら取り乱しでもするところだろう。
でも私は不思議なことに、全く冷静で。
寿命がきたのかもな。って単純にそう思っていた。