あの絵が完成するまでは
「この空とかすげーよなー
俺こんなの描けない」
「あ、それはグラデーションっていうんですよ」
「グラデーション?」
「はい。最初から紙に直接水を塗るんです」
「え、水だけ?筆で?」
「はい。水だけです。それから少しずつ乾かないうちに赤や青を塗っていきます」
「それでこんな綺麗な夕焼け描けるもんなのか」
「練習したら誰だって出来ますよ」
「俺でも?」
「はい!」
「いや、俺は無理だな〜絵下手だし。」
「そ、そうなんですか・・・」
「なんだよ、その顔!
じゃあお前が俺になんか描いてよ」
「・・・私が?」
「うん。飾る用じゃなくて、俺に。」
「・・・。」
「あ、だめ?」
「い、いえ!・・・なんでもいいんですか?」
「うん。なんでもいい。描いてくれんの?」
「はい。いつになるかはわからないけど、必ず!」
「まじ?やった!約束な」
「はい」
「約束します」