あの絵が完成するまでは
└通門
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「それから私はバカみたいに毎日、先輩にあげる絵を描くことに集中しました」
ある程度を話し終え、俯きがちに話を続ける。
「何を描けばいいのかわからず、描いては消して・・・でも、その二ヶ月後、約束どころではない事故が起きました」
「事故?」
私は小さく頷いた。
「ウインターカップ本番に、テレビ局の機材が2階から落ちてきて・・・その下敷きになって、足を怪我したんです」
言葉にすると、あの時の光景がフラッシュバックしてくる。
血相を変えるギャラリーと、今までに見たことないくらい苦痛に歪む顔でうずくまる先輩と、
思わず口元を抑えてしまうくらいの、大量の血。
思い出したくない。こんなの。
でも、頭から離れない。