あの絵が完成するまでは
ギルは私を見て一瞬にやっと笑い、
「一定の期間だけ、寿命を伸ばして
お前を地上に返す。」
そう言った。
・・・。
・・・・・・・・・地上に返す・・・。
それって、そういうこと・・・だよね。
「うそ、ほ、ほんとに?」
「ああ。未練や恨みを持ったまま冥界に行っても、堕天するだけだからな。人は。」
「だから本当にあの世の人間になる前に、何も無い状態になってないとだめなんだよ」
ギルは淡々とそう説明する。
(私は・・・)
なんでもいい。もう一度、絵を描くチャンスをくれるなら。
「わかった。期間内に、絵を完成させればいいのね?」