空よりも高く 海よりも深く
「そう。もう皇家の方だからね。俺たち民間人には雲の上のお人だよ」
「……そうだな」
頷いて、チラリとリディルを見る。
無表情に祈りを捧げた彼女は、やはり無表情に姿絵を見上げていた。
『お前の兄なのだぞ』
心の中でそう伝えてやる。
もしかしたら何か思い出して反応するかもしれない、としばらく見守るものの、特に表情が変わることなく、ただ兄である惑星王とその妃を眺めている。
この姿絵で微笑む惑星王カインは、素晴らしい治世を行う賢王だと言われている。クーデターの後、まだ混乱が続く皇宮内で惑星王の名を継いだのは彼が15歳の時。準成人は迎えていたが、それでもまだまだ政治の中枢での権力は薄かっただろう。
それでも愚かな傀儡とならず、荒れていた世界を平和へと導いてきた。その手腕は評価され、こうして民に親しまれている。
その彼が、妹姫を探している。
たった一人の血の繋がった兄弟。
本来ならばリディルは惑星王のすぐ近くで、皇女として祝いの言葉を伝えていたはずだ。
それなのに今の彼女は、何の感動もない表情で自身の兄を見上げている。
姿絵の兄も、妹の居場所どころかその生死さえ確認出来ずにいる。
……ここにいるのに。
アリアとランス、そしてエインズワース夫妻は、彼らを引き合わせてやることが出来ない。また争いの火種を生みかねない。本人たちにその意思が欠片もなくとも。
「……そうだな」
頷いて、チラリとリディルを見る。
無表情に祈りを捧げた彼女は、やはり無表情に姿絵を見上げていた。
『お前の兄なのだぞ』
心の中でそう伝えてやる。
もしかしたら何か思い出して反応するかもしれない、としばらく見守るものの、特に表情が変わることなく、ただ兄である惑星王とその妃を眺めている。
この姿絵で微笑む惑星王カインは、素晴らしい治世を行う賢王だと言われている。クーデターの後、まだ混乱が続く皇宮内で惑星王の名を継いだのは彼が15歳の時。準成人は迎えていたが、それでもまだまだ政治の中枢での権力は薄かっただろう。
それでも愚かな傀儡とならず、荒れていた世界を平和へと導いてきた。その手腕は評価され、こうして民に親しまれている。
その彼が、妹姫を探している。
たった一人の血の繋がった兄弟。
本来ならばリディルは惑星王のすぐ近くで、皇女として祝いの言葉を伝えていたはずだ。
それなのに今の彼女は、何の感動もない表情で自身の兄を見上げている。
姿絵の兄も、妹の居場所どころかその生死さえ確認出来ずにいる。
……ここにいるのに。
アリアとランス、そしてエインズワース夫妻は、彼らを引き合わせてやることが出来ない。また争いの火種を生みかねない。本人たちにその意思が欠片もなくとも。