空よりも高く 海よりも深く
「お前の両親には、黙っていろと言われたが……それがお前にとって良いことだとは思えんな」
「……え?」
「どちらにせよ辛い思いをするのなら、真実を知れ」
ヴァンガードの涙を拭ってやり、アリアは立ち上がった。
「10年前、皇都でクーデターが起きた。それは聞いているな?」
「……はい」
ヴァンガードは鼻を啜りながら頷いた。
「その首謀者に仕立て上げられたのがリディアーナ皇女殿下……リディルだ。皇家はカイン皇帝陛下の星府軍と、リディルの反星府軍に分かれた。だが実際のところ、星府軍の圧倒的武力によって、すぐに戦は終結したのだ。反逆を企てた宰相らはすぐに牢に入られたが……何の罪もない若干7歳の皇女殿下を憐れに思った者が、皇女を皇都から逃がした。……それが、お前の祖父だ」
「えっ……?」
ヴァンガードも、フェイレイも、驚いてアリアを見た。そんな反応だったものだから、アリアはあれ、お前知ってたんじゃなかったの? とフェイレイを見た。だが一先ずそこは置いておく。
「お前の祖父は、リディルの母と親しかったらしい。……リディルは前の皇帝陛下と、町娘との間に生まれた子でな。ずっと皇家とは関係のないところで、母と2人で暮らしていた。それがいきなり戦に巻き込まれたのだ。……可哀想な話だ。お前の祖父もそう思ったんだろう」
アリアはふう、と息をつくと、静かに目を閉じた。
体中を貫かれた、惨い状態で発見されたヴァンガードの祖父、クライヴを思い出す。
「皇家に背いた大罪人として、お前の祖父は殺された。そして、お前たちも狙われていた。大罪人の血を引く一族としてな。……なあ、ヴァンガード。父上は、お前に厳しく接しただろう? 何故だと思う?」
ヴァンガードは首を横に振った。
「お前に死んで欲しくなかったのだ。エインズワースという名でいる限り、星府から狙われ続ける。それから逃げるには、お前を強くしてやらねばならなかった。そして、優しくもしてやれなかった。……今日のような日が来たときのために」
巻き添えにしないよう、切り捨てるために。
そのことに、ヴァンガードは気づいたようだった。
「……え?」
「どちらにせよ辛い思いをするのなら、真実を知れ」
ヴァンガードの涙を拭ってやり、アリアは立ち上がった。
「10年前、皇都でクーデターが起きた。それは聞いているな?」
「……はい」
ヴァンガードは鼻を啜りながら頷いた。
「その首謀者に仕立て上げられたのがリディアーナ皇女殿下……リディルだ。皇家はカイン皇帝陛下の星府軍と、リディルの反星府軍に分かれた。だが実際のところ、星府軍の圧倒的武力によって、すぐに戦は終結したのだ。反逆を企てた宰相らはすぐに牢に入られたが……何の罪もない若干7歳の皇女殿下を憐れに思った者が、皇女を皇都から逃がした。……それが、お前の祖父だ」
「えっ……?」
ヴァンガードも、フェイレイも、驚いてアリアを見た。そんな反応だったものだから、アリアはあれ、お前知ってたんじゃなかったの? とフェイレイを見た。だが一先ずそこは置いておく。
「お前の祖父は、リディルの母と親しかったらしい。……リディルは前の皇帝陛下と、町娘との間に生まれた子でな。ずっと皇家とは関係のないところで、母と2人で暮らしていた。それがいきなり戦に巻き込まれたのだ。……可哀想な話だ。お前の祖父もそう思ったんだろう」
アリアはふう、と息をつくと、静かに目を閉じた。
体中を貫かれた、惨い状態で発見されたヴァンガードの祖父、クライヴを思い出す。
「皇家に背いた大罪人として、お前の祖父は殺された。そして、お前たちも狙われていた。大罪人の血を引く一族としてな。……なあ、ヴァンガード。父上は、お前に厳しく接しただろう? 何故だと思う?」
ヴァンガードは首を横に振った。
「お前に死んで欲しくなかったのだ。エインズワースという名でいる限り、星府から狙われ続ける。それから逃げるには、お前を強くしてやらねばならなかった。そして、優しくもしてやれなかった。……今日のような日が来たときのために」
巻き添えにしないよう、切り捨てるために。
そのことに、ヴァンガードは気づいたようだった。