空よりも高く 海よりも深く
「ブライアン、フェイのところに行って荷物を纏めさせてくれ。リディルを救出次第、オースター島へ行くように」
「分かりました」
ブライアンが頷いたのを見て、アリアは通信ボタンを押した。
「どうしたフェイ」
『母さん。俺、やっぱりリディルを助けに行く』
「お前では無理だ。それに、星府軍に逆らったらこの街は……」
『分かってる。だから、俺と親子の縁を切ってくれ』
思いもよらない言葉が聞こえてきた。
「は、はあっ? もう一度言ってみろ、この馬鹿が!」
思わず怒鳴ってしまったが、通信機からは落ち着いた声が返った。
『俺、ギルドを辞める。俺のIDを削除して。んで、俺と親子の縁を切ってくれ』
アリアは開いた口が塞がらなくなった。呆れたわけではない。驚いたのだ。ちゃんと筋を通してリディルを助けに行こうとしている息子に。
『セルティアの人達に迷惑をかけずにリディルを助けるには、こうするしかない』
「そんなことをしても無駄だ! 今頃リディルは戦艦の中だ。おまけにアレクセイが傍にいるぞ。お前の倒せる相手ではないんだ!」
下手に突っ込んでいって戦場を掻きまわされては困る。せめて国民の避難が終わるまでは大人しくしていてもらわなければ。しかしこの通信機では敵に傍受されている可能性もある。下手に作戦を喋るわけにはいかないし、どう説得したら良いものか。
アリアが頭を悩ませている間にも、フェイレイは言い募る。
『分かってる。だけど、このまま退くわけにはいかないんだ。俺は、リディルの『勇者』なんだ! 絶対、護ってみせる!』
そこに強い意思を感じ、アリアは胸が熱くなった。
しかし今は息子の成長を喜んでいる場合ではない。何としてでも止めなければ。
「お前は、父や母を捨ててまでリディルを選ぶのか」
『そうじゃない……』
「そんなことは許さん」
アリアは通信先を切り替えると、近くの壁に埋め込まれている緊急警報ボタンを拳で叩いた。センタービル内にけたたましい警報が響き渡る。
「ギルド内職員全員に告ぐ。フェイレイ=グリフィノーを発見次第捕獲せよ! いいか、何が何でも止めろ!」
「分かりました」
ブライアンが頷いたのを見て、アリアは通信ボタンを押した。
「どうしたフェイ」
『母さん。俺、やっぱりリディルを助けに行く』
「お前では無理だ。それに、星府軍に逆らったらこの街は……」
『分かってる。だから、俺と親子の縁を切ってくれ』
思いもよらない言葉が聞こえてきた。
「は、はあっ? もう一度言ってみろ、この馬鹿が!」
思わず怒鳴ってしまったが、通信機からは落ち着いた声が返った。
『俺、ギルドを辞める。俺のIDを削除して。んで、俺と親子の縁を切ってくれ』
アリアは開いた口が塞がらなくなった。呆れたわけではない。驚いたのだ。ちゃんと筋を通してリディルを助けに行こうとしている息子に。
『セルティアの人達に迷惑をかけずにリディルを助けるには、こうするしかない』
「そんなことをしても無駄だ! 今頃リディルは戦艦の中だ。おまけにアレクセイが傍にいるぞ。お前の倒せる相手ではないんだ!」
下手に突っ込んでいって戦場を掻きまわされては困る。せめて国民の避難が終わるまでは大人しくしていてもらわなければ。しかしこの通信機では敵に傍受されている可能性もある。下手に作戦を喋るわけにはいかないし、どう説得したら良いものか。
アリアが頭を悩ませている間にも、フェイレイは言い募る。
『分かってる。だけど、このまま退くわけにはいかないんだ。俺は、リディルの『勇者』なんだ! 絶対、護ってみせる!』
そこに強い意思を感じ、アリアは胸が熱くなった。
しかし今は息子の成長を喜んでいる場合ではない。何としてでも止めなければ。
「お前は、父や母を捨ててまでリディルを選ぶのか」
『そうじゃない……』
「そんなことは許さん」
アリアは通信先を切り替えると、近くの壁に埋め込まれている緊急警報ボタンを拳で叩いた。センタービル内にけたたましい警報が響き渡る。
「ギルド内職員全員に告ぐ。フェイレイ=グリフィノーを発見次第捕獲せよ! いいか、何が何でも止めろ!」