空よりも高く 海よりも深く
ゴウゴウと吹き荒れる風に弄られながら、2人はしばらく見詰め合った。
確かに甘い。けれど……その甘さを受け入れた上で、彼は強くなっていくような気がした。息子の人としての器を、見たような気がした。
アリアは溜息をついて闘気を消す。
「ここへは戻ってくるな。お前のIDは削除する」
「母さん」
認めてくれたのかとフェイレイが笑みを浮かべたところに、けたたましい警報が鳴り響いた。
『敵艦主砲、動き出しました。狙いはセンタービルと思われます』
辺りに若い女性オペレーターの声が響き渡る。
「……来たか」
アリアは腰に手を当てると、耳にインカムをつけ、スイッチを入れた。避難完了の報せはなかった。だがもう、反撃するしかない。
「戦闘員、第二種戦闘配置」
フェイレイとヴァンガードは驚いて目を見開いた。
「母さん、まさか、戦艦と闘うの!?」
「手を出さんと言いながら撃ってくるのだ。抵抗して何が悪い。……シールド強化。主砲発射までどれくらいだ」
『およそ100秒と予測』
「まあそんなものか」
アリアはフェイレイを顎をしゃくって呼び寄せた。
「時間がない。簡潔に説明する。ひとつも残さず聞いていけよ」
「え、え? うん……」
頷きながらも事態をよく呑み込めていない様子のフェイレイ。だがそれに構っている暇はない。アリアは早口で指示を出す。
「お前の通信機に戦艦の内部地図を送信しておいた。出せ」
「はあっ!?」
「早くしろ!」
怒鳴られ、フェイレイは戸惑いながらも通信機のボタンを操作し、緑色の線で描かれた地図を宙に広げた。その中央あたりに光が赤く点滅している。
「ここがリディルのいるところだ。内部に侵入したら、ここを目指せ。時々位置を確認しろ。移動させられるかもしれん」
「なんでこんなの出るの」
「あの戦艦の内部をサーチしたのだ。さすがに、全部は拾いきれていないな」
アリアがそう言ったところで、彼女の腕の通信機が鳴る。
確かに甘い。けれど……その甘さを受け入れた上で、彼は強くなっていくような気がした。息子の人としての器を、見たような気がした。
アリアは溜息をついて闘気を消す。
「ここへは戻ってくるな。お前のIDは削除する」
「母さん」
認めてくれたのかとフェイレイが笑みを浮かべたところに、けたたましい警報が鳴り響いた。
『敵艦主砲、動き出しました。狙いはセンタービルと思われます』
辺りに若い女性オペレーターの声が響き渡る。
「……来たか」
アリアは腰に手を当てると、耳にインカムをつけ、スイッチを入れた。避難完了の報せはなかった。だがもう、反撃するしかない。
「戦闘員、第二種戦闘配置」
フェイレイとヴァンガードは驚いて目を見開いた。
「母さん、まさか、戦艦と闘うの!?」
「手を出さんと言いながら撃ってくるのだ。抵抗して何が悪い。……シールド強化。主砲発射までどれくらいだ」
『およそ100秒と予測』
「まあそんなものか」
アリアはフェイレイを顎をしゃくって呼び寄せた。
「時間がない。簡潔に説明する。ひとつも残さず聞いていけよ」
「え、え? うん……」
頷きながらも事態をよく呑み込めていない様子のフェイレイ。だがそれに構っている暇はない。アリアは早口で指示を出す。
「お前の通信機に戦艦の内部地図を送信しておいた。出せ」
「はあっ!?」
「早くしろ!」
怒鳴られ、フェイレイは戸惑いながらも通信機のボタンを操作し、緑色の線で描かれた地図を宙に広げた。その中央あたりに光が赤く点滅している。
「ここがリディルのいるところだ。内部に侵入したら、ここを目指せ。時々位置を確認しろ。移動させられるかもしれん」
「なんでこんなの出るの」
「あの戦艦の内部をサーチしたのだ。さすがに、全部は拾いきれていないな」
アリアがそう言ったところで、彼女の腕の通信機が鳴る。