空よりも高く 海よりも深く
2人は陽の差し込む中庭に出た。
災害が静まってから4ヶ月。やっと陽が出るようになり、ひやりとした空気も心地よく感じられるようになった。
城の中庭にある陽のあたるベンチに並んで座り、侍女が用意してくれたサンドウィッチにかぶりつく。
近衛兵や侍女たちには姿の見えるところで待機していてもらい、誰もいない空間を作り上げる。
「はぁ……」
サンドウィッチを食べながら、無意識のうちに溜息を零すクラウス王。
「忙しそうだな」
「ああ……いや、君たちほど大変ではないよ。ただ、今回被害を受けた民のことを思うとね……。なかなか、御飯が喉を通らない」
確かにサンドウィッチを呑み込むのも辛そうだ。
この昼食は最近食が細い王のために、料理長が食べやすいものをと用意してくれたものだと言っていた。
「食っておけ。お前が倒れたら国が動かん」
侍女がテーブルに置いていった茶器からお茶を注ぎ、ずいっとクラウス王に渡してやる。
「分かっている。……こう忙しいと、のんびりとした時間が懐かしくなるな。君と走り回っていた頃が一番、私にとって穏やかな時間だったよ」
「ふふ、また虫退治でもしてやろうか?」
「そうしてもらいたい。今でも駄目なんだ」
「なんだ、情けない」
自分のお茶も注ぎながら、アリアは笑う。クラウス王も笑った。
アリアとクラウス王は、ほんの3ヶ月の間だけ同じ学び舎で学んだ。魔族に村を焼かれ、孤児となったアリアはフォルセリアの孤児院で、大勢の孤児たちと一緒に狭い教室で学んだ。そこにクラウス王は後学のためにと、孤児たちのいる学び舎にやってきたのだった。
とても短い時間ではあったが、それはアリアたち孤児にとっても、クラウス王にとっても良い思い出となる楽しい時間だった。
クラウスは王族だが、今もこうして学友であるとはいえ孤児だったアリアと、普通の友人として接してくれる。他国の王族を見れば、奇特な王と言えよう。
だがそれゆえに国民の人気も高い。
彼の治める国に生まれて良かったと、アリアは心から思うのだ。
災害が静まってから4ヶ月。やっと陽が出るようになり、ひやりとした空気も心地よく感じられるようになった。
城の中庭にある陽のあたるベンチに並んで座り、侍女が用意してくれたサンドウィッチにかぶりつく。
近衛兵や侍女たちには姿の見えるところで待機していてもらい、誰もいない空間を作り上げる。
「はぁ……」
サンドウィッチを食べながら、無意識のうちに溜息を零すクラウス王。
「忙しそうだな」
「ああ……いや、君たちほど大変ではないよ。ただ、今回被害を受けた民のことを思うとね……。なかなか、御飯が喉を通らない」
確かにサンドウィッチを呑み込むのも辛そうだ。
この昼食は最近食が細い王のために、料理長が食べやすいものをと用意してくれたものだと言っていた。
「食っておけ。お前が倒れたら国が動かん」
侍女がテーブルに置いていった茶器からお茶を注ぎ、ずいっとクラウス王に渡してやる。
「分かっている。……こう忙しいと、のんびりとした時間が懐かしくなるな。君と走り回っていた頃が一番、私にとって穏やかな時間だったよ」
「ふふ、また虫退治でもしてやろうか?」
「そうしてもらいたい。今でも駄目なんだ」
「なんだ、情けない」
自分のお茶も注ぎながら、アリアは笑う。クラウス王も笑った。
アリアとクラウス王は、ほんの3ヶ月の間だけ同じ学び舎で学んだ。魔族に村を焼かれ、孤児となったアリアはフォルセリアの孤児院で、大勢の孤児たちと一緒に狭い教室で学んだ。そこにクラウス王は後学のためにと、孤児たちのいる学び舎にやってきたのだった。
とても短い時間ではあったが、それはアリアたち孤児にとっても、クラウス王にとっても良い思い出となる楽しい時間だった。
クラウスは王族だが、今もこうして学友であるとはいえ孤児だったアリアと、普通の友人として接してくれる。他国の王族を見れば、奇特な王と言えよう。
だがそれゆえに国民の人気も高い。
彼の治める国に生まれて良かったと、アリアは心から思うのだ。