空よりも高く 海よりも深く
「さあ、席について」
ランスに言われ、フェイレイとリディルは並んで椅子に腰掛けた。ランスはその前にある深皿に、出来たばかりの熱々のクリームシチューを装った。子どもたちの目が輝くのを見てランスも微笑み、そして椅子に座った。
「それでは、恵みをもたらすユグドラシェルにお祈りを」
「お祈りを」
両手を組んで神樹ユグドラシェルに祈りを捧げた後、もう待ちきれないとばかりにフェイレイがシチューを食べ始めた。
「うまっ!」
笑顔のままにみるみる皿を空にしてしまうフェイレイに、リディルはぽかんとした顔をしている。
「リディルも冷めないうちに食べなさい。火傷に注意してね」
ランスに言われ、リディルはほんの少しだけ身を引きながらも、こくりと頷いた。ランスの言葉にも返事をするようになったのだ。緩やかにでも、確実に進歩している証だ。
「パンもおいしーよ、父さん!」
「それは良かった。二人とも、ご飯が食べられるのは、母さんが頑張って働いているからだからね。ユグドラシェルだけでなく、母さんにも感謝するんだよ」
「うん! あと、作ってくれた父さんにもね!」
「はは、そうだね。ありがとう」
父と息子のやり取りを、リディルはシチューを食べながら静かに聞いている。
にこにこと笑うフェイレイをジッと見つめ、優しい顔で頷くランスをジッと見つめ。その様子を、翡翠色の瞳の中にゆっくりと刻み込む。
食事の後の片付けは皆でやる。
ランスが桶に溜めた水で食器を洗い、フェイレイがそれを拭き、リディルが棚へ片付ける。
「二人とも、今日もお手伝いありがとう」
そうしてランスが感謝の言葉を言う。フェイレイの赤い髪を強めに撫でてやると、「えへへ」と嬉しそうに笑った。
その様子をリディルがジッと見つめているので、ランスは目を細めてリディルにも手を伸ばしてみた。
けれどもリディルは身を竦ませながらフェイレイの後ろに隠れてしまった。まだ頭を撫でさせてはもらえないようだ。フェイレイの陰からそっとランスを伺うリディルに苦笑しながらも、労いの言葉をかけてやる。
リディルはそんなランスを、ジッと見つめる。
見つめられる時間が、徐々に増えているような気がする。……そんなことが、しばらく続いた。
ランスに言われ、フェイレイとリディルは並んで椅子に腰掛けた。ランスはその前にある深皿に、出来たばかりの熱々のクリームシチューを装った。子どもたちの目が輝くのを見てランスも微笑み、そして椅子に座った。
「それでは、恵みをもたらすユグドラシェルにお祈りを」
「お祈りを」
両手を組んで神樹ユグドラシェルに祈りを捧げた後、もう待ちきれないとばかりにフェイレイがシチューを食べ始めた。
「うまっ!」
笑顔のままにみるみる皿を空にしてしまうフェイレイに、リディルはぽかんとした顔をしている。
「リディルも冷めないうちに食べなさい。火傷に注意してね」
ランスに言われ、リディルはほんの少しだけ身を引きながらも、こくりと頷いた。ランスの言葉にも返事をするようになったのだ。緩やかにでも、確実に進歩している証だ。
「パンもおいしーよ、父さん!」
「それは良かった。二人とも、ご飯が食べられるのは、母さんが頑張って働いているからだからね。ユグドラシェルだけでなく、母さんにも感謝するんだよ」
「うん! あと、作ってくれた父さんにもね!」
「はは、そうだね。ありがとう」
父と息子のやり取りを、リディルはシチューを食べながら静かに聞いている。
にこにこと笑うフェイレイをジッと見つめ、優しい顔で頷くランスをジッと見つめ。その様子を、翡翠色の瞳の中にゆっくりと刻み込む。
食事の後の片付けは皆でやる。
ランスが桶に溜めた水で食器を洗い、フェイレイがそれを拭き、リディルが棚へ片付ける。
「二人とも、今日もお手伝いありがとう」
そうしてランスが感謝の言葉を言う。フェイレイの赤い髪を強めに撫でてやると、「えへへ」と嬉しそうに笑った。
その様子をリディルがジッと見つめているので、ランスは目を細めてリディルにも手を伸ばしてみた。
けれどもリディルは身を竦ませながらフェイレイの後ろに隠れてしまった。まだ頭を撫でさせてはもらえないようだ。フェイレイの陰からそっとランスを伺うリディルに苦笑しながらも、労いの言葉をかけてやる。
リディルはそんなランスを、ジッと見つめる。
見つめられる時間が、徐々に増えているような気がする。……そんなことが、しばらく続いた。