空よりも高く 海よりも深く
フェイレイはギルドで傭兵訓練を、そしてリディルはアストラで今まで通りの生活を。
そう決めたアリアとランスは二人を説得することにした。だが、引き離されると警戒心を抱いてしまった二人は、話を切り出そうとすると逃げてしまう。
何せ二人はまだ子どもだ。
頭よりも感情で動く子どもに、口で言っても全てを理解は出来ないし、受け入れることも出来ない。
だが数日のうちに、状況が少し変わってきた。
危機感からか、リディルが今まで以上にフェイレイにべったりくっついて離れなくなったのだ。一瞬でも手を離すと泣きそうな顔になるものだから、さすがのフェイレイでも困るほどだった。
傍にいたいというのならこのままがいいと甘えさせる一方で、フェイレイに『このままでいいのか』という迷いが見え始めたのが分かった。
リディルの方も、差し伸べられる手に甘えながらも、自分の行動がフェイレイを困らせているという自覚が現れてきているように見えた。
時折、何か言いたそうにお互いをじっと見つめる二人。
機は熟したと、夫婦は説得に入る。
「今のリディルは赤ちゃんと同じなのかもしれないね」
アリアがリディルをお風呂に入れている間に、ランスがフェイレイと話をする。
「リディル、赤ちゃんになったの?」
「そうだね……リディルは一度記憶がすべてリセットされた。だから、赤ちゃんのようなものなんだ」
「そうなんだ……じゃあ、ずっと傍にいてあげなくちゃ」
「いや、その時期は終わりに来ていると思うんだ。君たちは今、離れる時期なんだ」
「どうして?」
「赤ちゃんは必ず、親の庇護から離れるときが来るんだ。フェイ、君もそうだった。君は父さんや母さんの後を追って泣いてばかりいた時期があったんだよ。今のリディルのようにね」
「……そうなの? 全然覚えてないや」
「はは、そうだね。……リディルにとっては、目が覚めて一番に見た君が父さんや母さんみたいなものなのかな」
「あっ、それ鳥さんと一緒だね!」
「ああ、そうだね。鳥のヒナも親の後を追って歩く。だけど必ず、自分の羽で飛び立つ日が来るんだ」
真っ直ぐにフェイレイの目を見つめると、フェイレイも真剣な目で頷いた。
そう決めたアリアとランスは二人を説得することにした。だが、引き離されると警戒心を抱いてしまった二人は、話を切り出そうとすると逃げてしまう。
何せ二人はまだ子どもだ。
頭よりも感情で動く子どもに、口で言っても全てを理解は出来ないし、受け入れることも出来ない。
だが数日のうちに、状況が少し変わってきた。
危機感からか、リディルが今まで以上にフェイレイにべったりくっついて離れなくなったのだ。一瞬でも手を離すと泣きそうな顔になるものだから、さすがのフェイレイでも困るほどだった。
傍にいたいというのならこのままがいいと甘えさせる一方で、フェイレイに『このままでいいのか』という迷いが見え始めたのが分かった。
リディルの方も、差し伸べられる手に甘えながらも、自分の行動がフェイレイを困らせているという自覚が現れてきているように見えた。
時折、何か言いたそうにお互いをじっと見つめる二人。
機は熟したと、夫婦は説得に入る。
「今のリディルは赤ちゃんと同じなのかもしれないね」
アリアがリディルをお風呂に入れている間に、ランスがフェイレイと話をする。
「リディル、赤ちゃんになったの?」
「そうだね……リディルは一度記憶がすべてリセットされた。だから、赤ちゃんのようなものなんだ」
「そうなんだ……じゃあ、ずっと傍にいてあげなくちゃ」
「いや、その時期は終わりに来ていると思うんだ。君たちは今、離れる時期なんだ」
「どうして?」
「赤ちゃんは必ず、親の庇護から離れるときが来るんだ。フェイ、君もそうだった。君は父さんや母さんの後を追って泣いてばかりいた時期があったんだよ。今のリディルのようにね」
「……そうなの? 全然覚えてないや」
「はは、そうだね。……リディルにとっては、目が覚めて一番に見た君が父さんや母さんみたいなものなのかな」
「あっ、それ鳥さんと一緒だね!」
「ああ、そうだね。鳥のヒナも親の後を追って歩く。だけど必ず、自分の羽で飛び立つ日が来るんだ」
真っ直ぐにフェイレイの目を見つめると、フェイレイも真剣な目で頷いた。