空よりも高く 海よりも深く
木立に囲まれ、土を均しただけの広い訓練場に出ると、剣士の試験官が待っていた。
その試験官の案内する通りに全速力で直線を走ったり、等間隔に立っている棒をジグザグに走ったり、障害物を乗り越えたりして運動能力を見る。
フェイレイはメイサやそこに居合わせた傭兵たちや学校関係者も目を見張るほどの運動能力を見せた。
(ふふん、何を驚くことがあるか。この私とランスの息子だぞ。そして私が直々に体術の手ほどきをしたのだぞ)
試験官相手の組手も、入学前とは思えないほど鋭い踏み込みに、相手が少し焦っているのが見えた。
「アリアさん、本当に体術しか教えていないのですか? あの間合いの取り方は、剣士としても訓練していたのでは?」
メイサに指摘され、アリアは内心唸った。
(ランスめ、私に内緒で鍛えていたな)
自分も内緒で訓練していたくせに、自分に内緒で教えていたことにむっとするアリア。それでも周囲の驚嘆の顔を見ると、息子の出来の良さに鼻高々になる。
「これは……もしかしたら五年もしないうちに候補生に上がれるかもしれませんねぇ。そうしたら十年に一人の逸材ですよ~」
メイサが感心しながらタブレットにフェイレイの運動能力を書き込んでいく。軒並み最高ランクのAA(ダブルエー)判定だ。
「ふふん、百年に一人だ。断言しよう、三年以内に候補生に上がる」
「そうしたら、最年少記録を上書きされてしまいますね、アリアさん」
「子は親の背を追い越して、初めて一人前になるものだからな」
13歳という若さで拳闘士の候補生になり、その年に正規の傭兵に昇格しているアリア。フェイレイはそれを超えるだろうと、アリアは思っていた。
「剣士も良さそうですが、拳闘士でもいけそうですねぇ。変更は今からでも出来ますよ~?」
同じことを思っているのだろう、剣士の教官の下に拳闘士の教官が近づいていき、何やら話し込んでいるのが見えた。アリアだって出来れば息子には自分と同じ道を歩んで欲しかったが。
「剣を持っている方がカッコイイのだそうだ」
「……なるほど~」
舌打ちしながらそう言うと、メイサは生暖かい眼差しをフェイレイへ向けた。
その試験官の案内する通りに全速力で直線を走ったり、等間隔に立っている棒をジグザグに走ったり、障害物を乗り越えたりして運動能力を見る。
フェイレイはメイサやそこに居合わせた傭兵たちや学校関係者も目を見張るほどの運動能力を見せた。
(ふふん、何を驚くことがあるか。この私とランスの息子だぞ。そして私が直々に体術の手ほどきをしたのだぞ)
試験官相手の組手も、入学前とは思えないほど鋭い踏み込みに、相手が少し焦っているのが見えた。
「アリアさん、本当に体術しか教えていないのですか? あの間合いの取り方は、剣士としても訓練していたのでは?」
メイサに指摘され、アリアは内心唸った。
(ランスめ、私に内緒で鍛えていたな)
自分も内緒で訓練していたくせに、自分に内緒で教えていたことにむっとするアリア。それでも周囲の驚嘆の顔を見ると、息子の出来の良さに鼻高々になる。
「これは……もしかしたら五年もしないうちに候補生に上がれるかもしれませんねぇ。そうしたら十年に一人の逸材ですよ~」
メイサが感心しながらタブレットにフェイレイの運動能力を書き込んでいく。軒並み最高ランクのAA(ダブルエー)判定だ。
「ふふん、百年に一人だ。断言しよう、三年以内に候補生に上がる」
「そうしたら、最年少記録を上書きされてしまいますね、アリアさん」
「子は親の背を追い越して、初めて一人前になるものだからな」
13歳という若さで拳闘士の候補生になり、その年に正規の傭兵に昇格しているアリア。フェイレイはそれを超えるだろうと、アリアは思っていた。
「剣士も良さそうですが、拳闘士でもいけそうですねぇ。変更は今からでも出来ますよ~?」
同じことを思っているのだろう、剣士の教官の下に拳闘士の教官が近づいていき、何やら話し込んでいるのが見えた。アリアだって出来れば息子には自分と同じ道を歩んで欲しかったが。
「剣を持っている方がカッコイイのだそうだ」
「……なるほど~」
舌打ちしながらそう言うと、メイサは生暖かい眼差しをフェイレイへ向けた。