夏彩憂歌
来年の夏も、あたしはきっとここに来る。

でも、来年は絶対にツマンナイとは思わないだろう。

おばあちゃんから聞きたい話も聞いておかなきゃならない話も、きっとまだたくさんたくさんあるはずだ。

おじいちゃんのお墓参りと一緒に、慶兄さんのお墓参りも毎年しよう。

素敵な名前をありがとう、って言おう。


ゆうやけこやけのあかとんぼ
おわれて見たのは
いつの日か

きっとあたしにとっても、特別な歌になる。



おばあちゃんの話は少し苦く、切なく、甘酸っぱく、私の心にくっきりと足跡を残した。


新学期が始まったら、きっと勇気を出して三浦くんに気持ちを伝えよう。

同じ時代を、この平和な時代を、奇跡のように出逢えて、好きになったんだもん。

勇気を出して、きっときっと。


慶兄さんとおばあちゃんのように、綺麗な気持ちを、純粋な気持ちを、あたしはきっと忘れない。





・・・・・VOL.2 空の贈り物[完]・・・・・
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