夏彩憂歌
見慣れた彼女の文字を、ゆっくりと目で追った。

どんなに小さな意図も、見落とさないように。

だけどもう、これは最後の手紙だって、彼女はそんな意図しか込めてなかった。



何度も何度も説得した。


別れたくないって、

そばにいたいって。


だめなんだって、

離れたくないんだって。


だけど、だからこそ、もう今回はほんとの終わりなんだって思う。

だって、俺にはもう彼女を説得する言葉は残ってない。

全部全部使い切っちゃって、それでも彼女はもうダメだって言うんだから、

多分もう無理なんだろう。

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