夏彩憂歌
彼女が俺のすべてで、

価値観も全部、本当に根底から覆してくれるくらい大きな存在だった。

今そんな大事な存在を失おうとしてる。


だけどよく分からない。

ほんとに彼女が好きだから別れたくないのか、自分のために別れたくないのか。

多分両方。



封筒を傾ける。

ガラステーブルの上に、カラン、と乾いた音を立ててそれは落ちた。


彼女が俺のものだった証。

記念日に二人で買った、ペアリング。

彼女のペアリングには、俺のイニシャル。


彼女のさようならの意図。

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