淡く儚い恋物語 Ⅱ ~貴方との夢~
「あ、そういえば俺達シュークリーム買ってきたんだった」
「美味しいよー!」
そう言って二人が蒼の方に視線を向けるから、私もそっちを見ると
「みんなで食べましょう」
「……え?」
ナニコレ…
というような馬鹿でかい箱がいつの間にか蒼の手の上に乗っていた
「蒼…買いすぎじゃない?」
「そうですか?一応店においてる全ては購入しました」
「……そう」
私…もう何も言わない
絶句した私を見て
「あのバカ2人がほとんど食うから安心しろ」
そう教えてくれたのは悠雅だった
「やっぱサイコーだなここのシュークリームは」
「相楽…綺麗に食べなよ」
「そういう海も服についてるぞ?」
その「バカ2人」はもう食べ始めているらしい
私も1つ貰おうかな
そう思って箱に手を伸ばした時
「口開け」
「ん?」
いつの間にか私の上からベッドの脇に移動していた悠雅がクリームの乗ったスプーンを差し出していた
「……え」
これってまさか…
『あーん』ってやつ?
「悠雅…皆…いる」
「気にすんな」
そう言われて渡りを見ると、相楽と海は笑いながら喋っていて蒼は窓辺で涼んでいる
見られてないならいいや
「ん」
ずいっと再び差し出されたスプーンにぱくっと食いつくと
「美味しい…」
甘いクリームが口いっぱいに広がった
「ふっ」
そんな私の表情を見て優しく笑う悠雅に私も微笑み返す
そんな私たちを3人が穏やかな表情で見ている事は知らなかった