淡く儚い恋物語 Ⅱ ~貴方との夢~
<相楽side>
「なぁ、海」
「ねぇ、相楽」
重なった俺達の声
そして同じ方に向く2人の視線
「「どうゆう事(だ)?」」
俺の視線の先には間違えなく天童組元組長の瀬織 興
『なんでアイツがここにいる!?』
最初は軽くパニックになった
でも今はそれどころじゃない
その瀬織 興の顔に浮かぶのは狂っていたあの日とは違う優しい笑み
そしてその瀬織 興の視線の先には
「どうして………
……澪ちゃんが」
呆然とした海が発した言葉は空気に溶け込む
……だよなぁ
なんでアイツの横にみっちゃんが?
悠雅は何してんだ?
一応俺達が見てるとは言え、危険すぎると言ってもおかしくない状況だろ
「……悠雅」
ハッとした海の声の方向に顔を向けると、眩しいくらい輝いているタキシード姿の悠雅がこっちに向かって歩いてきた
「…悠雅
なに?アレ…」
俺の口から漏れたのはなんともマヌケな質問
「……あ?」
っ!!
「っっ!!」
びびった…
隣の海の肩も震えてる
ダメだな…だいぶご機嫌斜めだ…
でも……聞かねぇーと
「な…なんでアイツとみっちゃんが一緒にいんの?」
「……」
おそるおそる聞いた質問に、ゆっくりと悠雅の視線はあの2人に向けられる
……あーあ、妬いてんなぁー
顔が怖いよ、悠雅さん
「…さぁ…
話してくるとは聞いてる」
「は?」
でも嫉妬の色を含んだ瞳を2人に投げかけたのは一瞬で、またいつもの表情に戻ってしまった悠雅
…なんだよ、話してくるって…
「いや、危険だろ」
どこから突っ込んだらいいのかも分からない
そんな俺に悠雅は追い打ちをかける
「大丈夫だ。
家族の問題なんだから」
……….?
……………………?
「「はぁ?」」
本日2回目
マヌケな声が見事に海とハモってしまった