淡く儚い恋物語 Ⅱ ~貴方との夢~
「……俺は澪ちゃんが誰の妹であろうと態度を変えるような男じゃないけどな」
「かっこつけちゃって〜
まぁ僕もだけどね。
不安なのは分かるけど…もっと頼って欲しかったよ」
「だな。」と2人顔を見合わせて微笑めば
「黙ってて悪かったわ。」
申し訳なさそうな…だけど、凛とした高い声が耳に滑り込んできた
「みっちゃん…」
ウェディングドレスのみっちゃんは俺達に向かって頭を下げた後、ゆっくり歩いて悠雅の隣に移動する
みっちゃんが隣に立つと、その腰に自然と悠雅の手が回り引き寄せられる
バージンロードを歩いていた時よりも近くで見るみっちゃんは眩暈がするほど綺麗だった
「ずっと皆に隠すようになっていたことは事実。ごめんなさい。」
今度はしっかりと目を見て謝ってくる彼女に
「あ…ああ」
「う…ん」
頷くのが精一杯だった
「悠雅の言う通り不安だった
離れていくんじゃないかって
拒絶されるんじゃないかって
………天童組に送られるんじゃないかって」
静かにゆっくりと話すみっちゃんの声は
少しでも油断してると聞きこぼしてしまいそうな程小さかった
「事実を知っても皆笑顔で受け止めてくれるっていうのは分かってた。
けど、思い込みだけじゃ不安はどうにもならなくて
結局言い出せなかった。」
「「………」」
俺達が黙って聞いている間も、腰に回っていたはずの悠雅の手がみっちゃんの頭を軽く撫で続ける
「……しかった」
「え?」
「今初めて知って悔しかった。
……けどな、みっちゃんの気持ち、わからなくもない。
どんなに信じたくても言い出せない事だってある。だから気にすんな。
これから何かあった時、遠慮せずに言ってくれればそれでいい。」
「……相楽」
「そうだよ。
僕もそりゃ、信じて欲しかったとは思うけど…
でも今の澪ちゃんは幸せそうだからもういいよ!」
「……海…………ありがと」