淡く儚い恋物語 Ⅱ ~貴方との夢~
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何10個と並んだ丸テーブル
その中央には花瓶に入れられた豪華な花束とロウソク
ざわめく周りの招待客
『それでは新郎新婦の入場です』
それもこの一言で静まり返る
おとなしめの音楽と共に扉から現れる新郎新婦
新婦のみっちゃんは、あのアプリコットのウェディングドレスに身を包んでいた
そして…
「かわぁいいいいーー!!」
「何あれ!?天使!」
「すげぇ、流石あの2人の子供だな…」
みっちゃんの左腕には男の
悠雅の右腕には女の
大勢の人の前で少し不安そうな幼い赤ちゃんが抱きかかえられていた
1番前の大量の花で彩られた席についた2人は、それぞれ抱きかかえていた子供を膝の上に乗せる
あの悠雅が赤ん坊を…
みっちゃんと出会う前なら想像もできなかった光景が今目の前に広がっている
“父親”の顔でもある悠雅は愛おしそうに女の子の頭を撫でる
すると悠雅の大きな手に擦り寄る子供の姿はどこかみっちゃんと重なる部分があった
「なぁ、海」
「うん?」
「あったかい家庭になるだろうな」
「…そうだろうね
あの2人はどんな大きな喧嘩もキス一つで終わらせちゃうような人達だから」
「……そ…そうだな」
…それはいい事…なのか?
「相楽!
もうすぐスピーチでしょ?準備大丈夫?」
「優香!」
微笑ましい気持ちで新郎新婦を眺めていた俺は、みっちゃんより少し高めの元気な声にハッとする
「台本は?
ちゃんと覚えてる?
澪ちゃんの結婚式なんだから失敗したら許さないよ?」
「あ…ああ
分かってるって」
「ならいいけど…」