淡く儚い恋物語 Ⅱ ~貴方との夢~
「だって彼女いた方が色々楽じゃん?
ご飯とか作ってくれるしね?」
「……海」
…なんだよ
悲しそうに見えたのは気のせいか
ジト目で海を見つめていると、ふっと会場の電気が消える
そして大きなスクリーンに映る写真
それはみっちゃんと悠雅の今までの思い出
バイクに乗った2人の写真
繁華街に出かけた時に2人が手を繋いで歩いているのを撮った写真
海に遊びに行った時や夏祭りに行った時など、数々の懐かしい写真が流れる
そしてそのほとんどの写真に俺と海の姿もあった
「…あ、あれって」
そう海の声が聞こえたとき、スクリーンに映し出されていたのはある一枚の写真
整った顔立ちで上品な雰囲気の男の子と、フリルのワンピースを着た可愛らしい無邪気な女の子
「みっちゃんと…天童…だな」
写真に収まった2人の笑顔には何の曇りもなくただただ無邪気で
「こんな日もあったんだな…」
こんな仲の良さそうな2人がどこで道を間違えたのか考えずにはいられない
「まぁ、元に戻ったし気にする必要ねぇーか」
そう独り言のように呟いた時、静かに音楽が流れ始めた
映し出されるのは黒澪の皆で撮った集合写真
懐かしさで胸が締め付けられる感覚に陥る
白い扉から再び入場してきたみっちゃん
その顔に浮かぶ表情は
世界一幸せなものだと言ってもいいほどの、世界一綺麗だと言ってもいいほどのものだった