淡く儚い恋物語 Ⅱ ~貴方との夢~





「おいおい、この若い小僧が碓氷組の若頭って言うのかよ」






「隣に居るのって元黒澪の姫じゃね!?」






「あぁ、あの解散したっつー全国No.1の族か?

ちょー美人じゃねぇーか。
1発ヤらしてくんねーかな」






「つーか、小僧に女1人なんて余裕じゃねぇーか

総長には止められたけど、俺達5人も要らなかったんじゃね?」













「………悠雅」




「…チッ」









車に向かう途中ぞろぞろと湧いて出てきたガラの悪い連中







どうやら碓氷組若頭を狙ったヤツららしい









……それにしても










「…アホなのかしら」







「…あ?」








ぼそっと呟いた言葉に反応したのは悠雅










「あの人たち…


悠雅に勝てると思ってるみたいよ?」









「……あー…
勝てんじゃね?」









「…は!?」









ダルそうに欠伸をしながら答える悠雅









「…馬鹿さなら余裕でアイツらの方が上だろ?」








「…あぁ…なるほどね」









……可哀想な人達



こんなにバカにされているとも知らずに…











「若様よー
隣の女、こっちにくれねーか?」









「……」







男の言葉を完全スルーして車に向かう足を止めない悠雅








だから私も同じように男を無視して着いていく









「おい、聞こえてんだろ?

無視すんなら……こっちも本気でいくからな?」









「………」










「あ、そう
なら仕方ねぇーな


泣いて後悔しても知らねぇーからなっ!!」









「……うっせーな」








飛びかかってきた1人の男







ガンッ




「……ゔっ」








何かしらの武器を持っていたにも関わらず、悠雅の一撃だけで伸びてしまった










「おい!調子のんなよっ!」







それだけでビビってしまった他の4人は少し離れた所から威嚇してくる









「めんどくせぇから一気に来いよ」








私の腰に回していた手を離し、守るようにして前に立つ悠雅









久しぶりに殺気がダダ漏れて声もだいぶ低くなっている










「…1分で終わらせてやる」











唸るような声でその場が凍てつく








それが始まりの合図だった










「黙れぇぇぇ!!」




「死ねっ!!」









挑発に乗せられてすぐに真正面から襲いかかってくる2人










バキッ




ガンッ








激しい打撲音の後、どさどさっと二つの影が地面に崩れ落ちる










その後背後から気配を消して近づいてきたであろう男も、悠雅の後ろに向けて突き出した拳が顔面にヒットし撃沈










残り1人…は…











「っっ!!」











斜め後ろから近づいてくる男




手には光る銀色のモノ












……止めなきゃ









男が狙っているのは悠雅









なら私が…












「うぉぉぉっっ!」







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