淡く儚い恋物語 Ⅱ ~貴方との夢~
アイツが投げたのは金属のたばこケース
縦10cmくらいある
それが私の頭に直撃した
「あんまりなめた口きくなよ?
大人しくしてたら可愛がってあげるっていうんだからな」
「……」
あぁ
変わってない
10数年経った今でもこの男は変わってない
でも、私も変わってない
こんな奴に脅されたからって黙る女じゃない
「……変わってないのね
腐ってるところは」
「………」
出ていこうとしていたアイツはこちらをゆっくり振り返り、無表情で歩み寄ってくる
ゾワッ
「……っ」
あの日と同じ感覚が蘇る
興が私に近づいてくる
その時の逃げ出したくても逃げ出せない
そんな状況での感情