淡く儚い恋物語 Ⅱ ~貴方との夢~
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「澪
……来い」
昼休み
その男の声が教室に響くだけであんなに騒がしかったのが一瞬で静まり返る
「わかった…」
彼女は短く返事をすると彼の元に駆け寄り、一緒に廊下を歩いて行った
『じゃあまた…蒼、悠雅』
『では、澪さん』
『……』
朝…僕達の教室の前で、ニッコリと笑みを浮かべる琥珀 蒼先輩と目を細めて飛鳥の髪を撫でる碓氷 悠雅先輩
結局、朝は彼らに声をかける者はいなかった
休み時間、女子生徒はいつも通り港 海に群がっていたとはいえ
朝の話題を持ち出さなかったのは暗黙の了解
黒澪の方もいつも通りだった
情報といえば、碓氷 悠雅が3年A組だと流れてきたくらい
彼が何者なのか
…誰も知らない
校舎が違うのに昼休みは僕達のクラスまでやって来た