嘘つきの恋煩い
「美紗」

先輩は言った通り、休み時間ごとに遊びに来た。
何をする訳でもなく、適度に話したりニコニコ顔を見てきたり。
正直教室でやられては居心地が悪い。
そう思った私はあまり使われていない階段に誘った。

ここは私が一人で昼食をとる時に使う隠れ家だ。
人を招いたのはもちろん初めてである。


「何で私に構うんですか?」

「美紗が好きだから」

いつの間にか呼び捨てになっていたことに気づいて、また赤くなる。

「‥先輩は女馴れしてますね」

八つ当たりのように吐き捨てると、先輩はしばらくポカンとした後に大笑いした。
突然のことに面食らう。

「俺、告白したの初めてだし。付き合ったこともねーや」

明るく笑う彼の言葉に私は驚いた。
こんなに素敵なのに。


「‥先輩」

「ん?」


どんどん想いは募る。
会ったばかりなのに、私どうしちゃったんだろう。


「‥嫌いです」

「うん」


口から出る言葉は本心とは真逆で。


「嫌いって、言ってるでしょ」

「うん、知ってる」


何で嫌いって言われてもそんなに笑顔なの?
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