蜜愛フラストレーション
自他ともに認める地元愛の強い私は、今でも支社で働くチャンスがあればと心の奥で考えてしまう。こうして企画がハネられた時は特に。
ゆえに不慣れな環境でミスを重ね、企画をひねり出せば却下という手痛い洗礼を浴びた当初は何度、新幹線で地元へ逃げ帰ろうと駅まで向かいかけたことか。
そこへきて、部署内の飲み会で上司にこの部署に配属された真相をそれとなく尋ねてみたら、「気まぐれってことにしとけ」とビール片手に笑って言われた時の私の顔はひどく引きつっていたに違いない。
ちなみに私が所属するのは、甘味部門の第2グループである。第1グループは洋菓子、私たちは和菓子ベースの提案が主。しかし、エース率いる第1グループに大きく水を空けられている状況だ。
それでも仲良くなった同僚や、趣味を通じて出来た友人に支えられながら、こうして殺伐とした都会の片隅で踏ん張って日々なんとか生きている。
この部署に配属されて早5年。されども、就職後は一年なんてあっという間に過ぎていく。
がむしゃらに目の前の仕事をこなしてきた間に、事務職や受付など女性社員の顔ぶれが少しずつ変化していき、気づけば私も27歳。
これまでに何度、同僚や友人たちをお祝いするためにドレスアップしてきたのか?うん、考えるだけで虚しさ満点だ。