嵐の夜に。【短編】
両手を広げてガードしながら先生の隙を探る。
ボールを体で隠すようにドリブルしていて、隙が見つからない。
先生が走り出す。
ぶつかるように来る先生にわたしが押された瞬間、先生はジャンプしてボールを放った。
「あ」
弧を描いたボールはゴールに吸い込まれる。
「先生、もう一度!」
落ちて床にバウンドしたボールを拾うと、今度はわたしから仕掛けた。
先生の方がわたしより背が高いので、かがむようにして、先生の腕の下を通り抜ける。
ドリブルで一気に駆けると、シュートを放つ。
ボールはゴールのボードに当たり、ゴールの淵をクルクルと回った。
その行く先を見守っていると、やがてゴールの中に落ちた。
「よしっ!」
「1対1か。当然、もう一度やるよな?」
先生はニヤリと笑った。