嵐の夜に。【短編】
結局、10戦して5対5で引き分けだった。
「はあ、疲れた」
かいた汗をシャツでぬぐう。
「そろそろ帰るか」
「はい」
と返事をして、外に目を向けた。
外は大雨になっていた。
「……嘘」
「あー…ついてないな」
「先生、どうします?」
わたしは横に立つ先生を見上げた。
「いつまでもここにいるわけにはいかないし、とりあえず校舎に戻るか」
「でも、この雨足だとびしょ濡れなりますよ?」
「……仕方ないだろう」
先生はそう言いながら、ボールをしまいに行った。