嵐の夜に。【短編】
確かに、ここにいてもこの様子だと止むとは限らないけど……。
わたしたちは体育館の扉を閉めると、外を走り抜けた。
校舎の中に入ると立ち止まって、息を荒くついた。
「うわ、スカートしぼれちゃいますよ」
このまま廊下を濡らすのはまずいかなと、
校舎の扉の外、校舎の屋根の下でスカートや髪の毛の水気を絞った。
「それにしても、雨宿りしていたはずなのに、こうもびしょ濡れになるとはな……」
先生は水滴だらけになったメガネを外した。
その顔を見て、ドキンとする。
いつもメガネのレンズに覆われて気にしてなかったけど、
先生って意外とかっこいい顔してる。
「雨宿りの意味なかったですね」
その途端に、なんだかおかしくなって笑いがこみあげた。
「雨宿りどころか濡れに体育館に行ったみたいですよね」
「そうだな」
先生の口元もほんの少し上がっている気がした。