嵐の夜に。【短編】
「何か本を読むか?」
「え」
思わず、変な声が出る。
「宮下はもうちょっと本も読んだ方がいいと思うぞ」
「あ、え、その……」
本なんて読みません!とも言いづらくて、返答に困ってしまった。
そんなわたしを見て、先生がぷっと吹き出す。
わたしはぽかーんとなった。
いつも笑わない先生が、吹き出すほど笑うなんて……。
そういえば、バスケをしてる時もにやっと笑っていたし、今日は初めての表情ばかり見てるかもしれない。
「宮下なら、どういう本がいいのかな」
先生は図書室に入って行った。
わたしもついて行ってみる。
入ってすぐは貸出カウンターの内側になっていて、
カウンターの向こうには大きなテーブルと椅子が並んでいる。