嵐の夜に。【短編】
恋と原動力
8月に入り、わたしは朝から体育館でバスケ部の練習に参加していた。
部員の裕子(ゆうこ)とパスの練習をしながら、問いかける。
裕子はわたしと同じ2年で、去年は同じクラスでもあったので、部活のメンバーの中では一番仲が良い。
ショートカットで黒髪の似合う女の子だ。
「図書室?」
「うん、行ったことある?」
「そんなのアタシが行ったことあるわけないじゃん」
だよねー。
裕子は体を動かす方が好きで、机でじっと勉強してるのが苦手だ。
漫画と朝読以外の本を読むなんて話は聞いたこともない。
朝読もパラパラとページをめくってはいるけど、本当に読んでいるのか怪しい。
きっと図書室に行ったこともないに違いない。
わたしも、昨日先生に連れられるまでは行ったことなかったし、人のことは言えないんだけど。
「で、急に図書室がどうしたわけ?」