嵐の夜に。【短編】
恋と原動力

8月に入り、わたしは朝から体育館でバスケ部の練習に参加していた。



部員の裕子(ゆうこ)とパスの練習をしながら、問いかける。


裕子はわたしと同じ2年で、去年は同じクラスでもあったので、部活のメンバーの中では一番仲が良い。


ショートカットで黒髪の似合う女の子だ。



「図書室?」


「うん、行ったことある?」


「そんなのアタシが行ったことあるわけないじゃん」



だよねー。


裕子は体を動かす方が好きで、机でじっと勉強してるのが苦手だ。


漫画と朝読以外の本を読むなんて話は聞いたこともない。



朝読もパラパラとページをめくってはいるけど、本当に読んでいるのか怪しい。


きっと図書室に行ったこともないに違いない。


わたしも、昨日先生に連れられるまでは行ったことなかったし、人のことは言えないんだけど。



「で、急に図書室がどうしたわけ?」

< 18 / 51 >

この作品をシェア

pagetop