嵐の夜に。【短編】

しまった!


『図書室は静かに』だっけ。



ぐるっと見たところ、図書委員以外はいないようだ。


本を探すふりをして、本棚と本棚の間も見たけど、先生の姿はなかった。



あそこにいるのかな……?


わたしは貸出カウンターの後ろにある扉に目を向けた。


準備室には明かりがついている。


でも、たいした用もないのに図書委員の子に先生を呼んでもらうなんてできないしな……。


少し待っていれば先生が出てくるかもしれないと思って、

閲覧の椅子に座り、鞄から『源氏物語』を取り出した。


念のため上巻だけ持ってきてたんだ。



昨日の続きを読みだす。


だけど、やっぱりよくわからない。



そもそも、女御ってなんなのよ。

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