嵐の夜に。【短編】
翌日。
「台風が近づいているので、今日は部活など全部お休みです。まっすぐ帰るように」
帰りのショートホームルームで担任の言葉を聞いて、窓の外へ目をやった。
小雨が降ってる。
この感じなら、ちょっとくらい図書室に寄っても大丈夫かな……。
『源氏物語』を最後まで読んだこと、早く先生に伝えたかった。
少しくらいなら……。
台風が本格的にやってくる前に帰れば大丈夫だよね。
ホームルームが終わるなり図書室へ向かった。
「あ、あれ…?」
図書室には誰もいなかった。
部活がお休みってことは委員会活動もお休みだろうし、それは当然なんだろうけど……。
いると期待していた先生の姿もない。