嵐の夜に。【短編】
雨は強くないし、風もない。
台風が近づいてる天候には思えなかった。
まだ時間の余裕もありそうだ。
そう決めると、わたしは鞄から『源氏物語』を取り出し机に置き、椅子に座った。
何かを読んで待っていればいいのに、胸がどきどきして落ち着かない。
わたしは机に頭を乗せた。
気持ちを落ち着かせようと何回か深呼吸していると、やがて瞼がとろっと重くなった。
昨日、夜中まで『源氏物語』を読んでいたからかな。
すごく眠くなってきた。
寝ちゃダメ……。
だけど、抵抗むなしく、瞼が落ちる。