嵐の夜に。【短編】
嵐と暗闇
「……た、宮下!」
体を揺さぶられて、わたしは目を覚ました。
「んん……?」
目をこすりながら横を見ると、メガネをかけた男性の姿がぼんやり見える。
枝野先生?
「宮下、こんなところで何してるんだ!」
先生が大きな声で怒鳴った。
ぼやけた頭がだんだんとクリアになってくる。
「え……?」
「今日は早く帰るように指示があっただろう!!」
「あ、はい。でも、まだまだ大丈夫そうだから、ちょっとくらいいいかな……と」
怒る先生の姿に、さっきまでとは違う意味で心臓がどきどきして、小声しか出せなかった。
先生はため息をついた。
「外、見てみろ」
言われて視線を向けると、なぜ今まで気付かなかったのか!
強い風で窓がガタガタと揺れ、横なぶりの大雨が窓を打ち付けている。