嵐の夜に。【短編】
「ここを開けたまま長く離れていた私も悪いが、もう18時を回っている」
「ええ!?」
慌てて、貸出カウンターの後ろの壁にかかった時計を確認すると、針は18時34分を指していた。
「さっき、宮下のお母さんから娘が帰らないと連絡があって、宮下を探していた」
「お母さんから?」
先生はうなずいた。
「台風は今まさに近くを通過中だ。帰りに事故にでもあったのではないかと、心配している。
だが、電車が止まっていて、帰ることができない」
「そんな……」
呆然とした。
どうしよう……。
大変なことをやらかしてしまった。
「携帯は持ってるか?」