嵐の夜に。【短編】
「もう本を読むことには抵抗がないか?」
「せ、先生!」
恥ずかしいのでそこは掘り返さないでほしい!
「そりゃあ、まだ得意とは言えませんけど。
わたし、ちゃんと『源氏物語』を最後まで読んだんですよ」
「そうなのか?」
先生が目を見開いた。
「先生、わたしには読めないとでも思ってたんですか?」
「いや、そうじゃないけど、あれは結構長い話だからな。もっと時間かかるかと思っていた」
「確かに思ってた以上に長くて、大変でした」
読んだ日々を思い出して、苦笑した。
「それで、どうだった?」
「あー…」
どう答えようか迷った。
面白かったと言いたいところだけど、先生には正直な気持ちを伝えたい。