嵐の夜に。【短編】
「それでは、補習はここまで」
「はい。ありがとうございました」
急いで荷物をまとめて立ち上り、ふと窓の外を見た。
「あ、雨……」
まだ昼間だというのに空は薄暗くて、雨が降っていた。
窓辺に近寄り、外に手を出してみる。
ひどい雨というほどではないけど、傘をささずに歩くのも厳しいくらいの降りだ。
「傘持ってきてないのに……」
すると、わたしの真後ろに先生が立った。
「困ったな。私も傘は持ってきてないんだ」
「先生は車じゃないんですか?」
「ああ。電車通勤だ」
「そっか」
この学校、駅までは歩いて15分くらいで、ちょっと遠いんだよね。
「まだ14時だし、用がないなら一緒に雨が止むまで待つか」
「え、ここで……!?」