嵐の夜に。【短編】
「……宮下」
「……はい」
「雨宿りしようって言うのに、体育館に行くなら雨に濡れるじゃないか」
「そう……なりますね」
わたしたちは体育館に通じる出入り口で立ち尽くしていた。
そう。
すっかり忘れていたけど、うちの学校は校舎と体育館の間に屋根がないんだ。
渡り廊下も何もなく、屋外を通る。
でも、ここまで来て校舎内に戻るのも……。
何して暇をつぶせばいいんだって話。
わたしは先生の手を掴んだ。
男の人の手って思ったよりも大きいんだなって内心びっくりしたけど、気付かれないようにした。
「小雨ですし、ダッシュで走れば大丈夫ですよ」
言うが早いか、外に飛び出し、走り出した。
「ちょっ……宮下!」