bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-


その日から「初めての社内恋愛」という言葉だけで私は胸がときめいた。


もちろん、社内で絶対に知られてはいけない秘密の恋愛。


もちろん本郷主任にも、神部君にも、香奈子先輩にもばれちゃいけない。



まぁ、香奈子先輩には彼氏が出来たって報告はしたけれど…。



でもその魅惑の「社内恋愛」という言葉、それだけで私の胸のどきどきは鳴りやみそうにない。



業務中はやっぱり唯野主任を目で追ってしまうし、話しかけられたりしたらテンションが上がってしまってニヤついてしまうからそれを抑えるのに必死になってしまう。



呼び方だって、


「ひかり、もし職場で、間違えちゃいけないから、唯野主任のままで」

何回かのデートで唯野主任にそう言われたから、二人きりの時も唯野主任とか唯野さんって呼んでる。



それが、社内恋愛なんだと自分なりに納得していた。



デートだって、ばれちゃいけないからって唯野主任が言うから、唯野主任の家でしか会わない。

メールで連絡しあって、こそこそする密会する感じが、社内恋愛の醍醐味なんだなって自分なりに理解していた。

 




これで、唯野主任と結婚したら、どうなるんだろう。

呼び方は「駿介さん」とか・・・



そもそも結婚したら、同じ部署で働いていいのかな

 

きっと、いつもの穏やかな優しい笑顔を浮かべる唯野主任は理想の旦那様になってくれるだろう。

 
一人になるとそんな事ばかり考えていた。


 
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