bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
DVDを見終わる、すっかり外は暗くなっていたから、私が唯野主任の家にお邪魔する前に買ってきた簡単な材料を使って2人で夕ご飯を作る。
ここのところ、会社が休みの土曜日は、いつも2人でこんな1日を過ごしている。
そのまま夜はお泊りして、日曜のお昼頃に私の家に帰る。
平日はいつものように接待があったり、本郷主任たちとご飯食べに行ったりして過ごしている。
「明日、何するんですか?」
隣でサラダを作ってくれている唯野主任に聞いてみる。
「明日はひかりが帰ったあと、友達と会う約束があるかな」
「そうなんですね」
「なんで?どこか一緒に行きたかった?」
いつもの優しい笑顔を見せながら、唯野主任は聞いてくれる。
唯野主任と付き合い始めてまだ、一緒に外でデートなんてしたことはなかった。
普通のカップルみたいに一緒に出かけたりしたいけれど、きっと、それは私のわがままなんだと自分に言い聞かせた
「ううん。何か予定あるのかな?って、ちょっと思っただけです」
少し無理やり口角を上げて私が笑顔を見せたけれど、唯野主任は笑顔を浮かべたまま私の方を向かずに
「会社の人に会ったら、気まずいからね。私服で二人で会ってるなんて見られたら、噂がたつのは間違いないから。」
そう言いながら、唯野主任はミニトマトを綺麗に並べていた。