bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
そう言って本郷主任に背を向けて、コーヒーを準備する。

「安藤、お前今日なんかあった?」

「何もありません!!!」



背を向けたまま語気を強めて言うと、

「今日は、怒ったり、落ち込んだり、考えたり忙しそうだな。唯野さんのことだろ?」



背中越しにクスリと笑いながらそう言われて、思わずもっていた本郷主任のマグカップが手から滑り落ちてしまった。



パリンという音が給湯室に響き渡る。


「ごめんなさい」



床に落ちたカップの破片を何度も謝りながら拾おうとすると、


「…ったく。ここは俺がするから、安藤は、袋持って来い。触るなよ。怪我するぞ…」

「すみません」




「何回謝ってんだよ、気にするな」



いつものようにぶっきらぼうに言う本郷主任だけど、その優しさが伝わって心が温かくなるのを感じる。

 
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