bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
「いやいや。お見合いパーティーとかいいんじゃない?安藤ひかり。24歳。有名女子大卒、OLやってまーす!!!彼はもう1年近くいませーん!!みたいな……」
昔のアイドルを彷彿とさせる自己紹介に私は笑った。
香奈子先輩が私を励まそうと気を使ってくれているのが分かって、すごく嬉しかった。
「ひかりは、髪の毛とかメイクとか時間かければ綺麗になるんだから、すぐに相手見つかるわよ。そして、すぐに妊娠しちゃいなさいよ」
冗談とも本気ともとれる先輩の言葉に、少しだけ考えながら
「唯野主任みたいに、素敵な人ならいいんですけどね。唯野主任って、穏やかでいい旦那さんになると思うんですよ。それにきっとイクメンになると思うし」
想像するとつい頬が緩んでしまう。
そんな私の様子を見ることもなく、
「唯野主任は、やめなさい。結婚願望ないから、彼。それより、もっといい男の子供妊娠しなさい。とにかく誰でもいいから!!!」
急に真面目な顔して即答された。
「先輩。今日の冗談、本当きついです!!!そんな私が急に妊娠なんてしてしまったら、本郷主任になんて言われるか。はぁ、想像しただけでも恐ろしい。」
香奈子先輩が笑ってくれると思って、両手で震える真似をすると、意外にも真面目な顔して
「本郷一馬が妊娠の相手でも、私はいいと思うけど…」
そんなこというもんだから、私は大好きなチキン南蛮を一切れ床に落としてしまった。