bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
「そうなんですか。あの、今からお家にお邪魔してもいいですか?」
「えっ?今から?」
受話器の向こうですごく困ったような唯野主任の声がする。
バーの方を覗き見ると、エリカ先輩は全てを察したかのように頷いて、席を立って、帰ろうとしているのが分かる。
「わかった。じゃあ、今から帰るから。先に行っててくれる?」
複雑な心境の中でも、エリカ先輩より私の事を優先してくれたことが嬉しい。
本当にエリカ先輩の相談を受けていたんだろう
そう思って、これ以上疑わないことにした。